「共助」とは?- イノベーション論Ⅰでグループディスカッションを行いました

 東京も梅雨入りしました。この季節になると毎年のように大雨による洪水や土砂崩れのニュースが飛びこんできます。ただ、それは自分たちが住んでいるところから遠く離れた場所であり、ユーチューブで客観的にコンテンツを見ているような感覚しかないかもしれません。
 ただ、温暖化が加速する中では、東京キャンパスのあるこの江戸川区に線状降水帯(次々と発生する発達した雨雲(積乱雲)が列をなし数時間にわたり長さ50~300km、幅20~50km程度の線状になる強い大雨の帯)が発生しても何ら不思議はありません。    
 江戸川区は、区の9割が海抜ゼロメートル地帯であり、そこの79万人の人が暮らします。堤防決壊時には街の水深が4mにもなり、あふれた水が引くのには2週間以上かかります。ユーチューブで皆さんが見てきた洪水に映像とは比べ物にならないほどの大きな被害に直面すると考えて間違いありません。区のハザードマップが真っ赤に塗られているのはこのためです。
 人は大きな危機に直面すると思考を完全に停止します。ただ、思考が停止しても、過去に学習・経験した行動だけは思考停止下でも無意識にとることができます。

 下の写真は、授業(イノベーション論Ⅰ)でおこなった、「マイタイライン」というゲームです。タイムラインとは時間に沿って出来事を記録するという意味です。


 ここでは、洪水から逃れるため、避難する時点から逆算して「いつまでに」「どのようなことをしていておくか」を考えようとするものです。このシミュレーションを行うことにより、迫る危機に事前に対応できることから、参加学生全員が熱心に自分の「タイムライン」を作成していました。
 大事なことは、一人で考えるのではなく、複数の人数、チームで考えることです。自分だけでは想定できなかった事態に気づかされたり、自分だけでなく他の人も助ける必要があると考えるようになります。

「ヒトを助けることはジブンを助けること」と考える「共助」の気持ちを身につけることは、授業で単位を取る以上に大切なことです。